さっきの記事ではざっくりとTPPについて述べましたが、もう少し詳しく知りたければ
http://www.nochuri.co.jp/skrepo/pdf/sr20110217tpp.pdf
に詳しく農林業の影響がわかるかと思います。現状の各品目の関税率についても触れています。

さて、TPPに限らず一次産業は厳しい状況におかれているのは事実です。
ちなみに北海道平均の年収は畑が約800万、酪農は1000万ぐらいとのデータがありますが
如何せんこの収入には変動があります。本州だとこれの9~10分の1ぐらいの所得です。
ちなみに詳しくは農水省HPに載っています。
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/einou_kobetu/index.html

年収だけ見るとほかの職業と見ても見劣りはぜんぜんしません。
が、TPPが導入されると、試算では農業生産額が5割も落ちると考えられており、
単純に考えて年収も半分になってしまいます。生活がかかっているわけですからこれには反対するのもうなずけます。

とくにTPPで影響されるものは加工用に作っている品目です。たとえば現在日本産で加工して作り輸出する食料品も、今後原材料が海外産に取って代わることが増えるのではないかということが懸念されています。農業生産額が落ちると考えられるのはここが大きいと思います。


さて、このように農産物を生産する人々にとって厳しい環境になっていっておりますが
農村としてうまく行っている事例を紹介したいと思います。

まずは長野県川上村です。

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長野県川上村は、山梨県、埼玉県、群馬県との県境に位置します。西に八ヶ岳連峰が聳え立ち、東、北、南もそれぞれ2千メートル級の山々に囲まれ、かつては「陸の孤島」「信州のチベット」と呼ばれていたそうです。
その村が、今ではレタスの栽培を中心に平均売上2,500万円、出生率(一人の女性が一生に生む子どもの人数)1.83人(全国平均は1.34)など、全国でもまれに見る豊かな農村に生まれ変わりました。また川上村では、農業従事者のうち、30代、40代が約37パーセントと、全国平均の9.4パーセントを大きく上回っているのも特徴的です。
川上村は、どのようにしてこのような活気のある「明るい農村」に生まれ変わることができたのでしょうか? tikara

1.村の置かれている外圧状況の把握
2.その中で、どこに可能性があるかをとことん追求する
3.その可能性に村中が収束し、一体となる
4.上記を導くリーダーの存在

まず、最大の要因は、ちゃんと食べていける農業を実現していることにあると思います。それを支えているのがレタス栽培ですが、川上村ではCATVを利用した情報の共有化によって、高い生産性を実現しています。以下「るいネット」より引用します。
■ケーブルテレビで農村の情報化
川上村は、食生活の欧風化の波に乗って、レタスの出荷を行っていたが、東京市場では新興産地のレタスに価格面で後れをとりつつあり、何らかの対策が必要だった。  
その柱が情報化だった。正確な気象情報があれば、的確な農作業が可能になり、また市況情報により価格が高いときにタイムリーに出荷できる。  川上村は地上波テレビの難視聴地域でもあったので、まずケーブルテレビ(CATV)の導入を図り、これを利用して農家向けに情報を流せないか、と藤原さんは考えた。
これには数億円の予算が必要になるが、藤原さんは農水省に補助金を出して貰えないか、と掛け合った。答えは「ノー」。有線テレビはダメだという姿勢だった。しかし、村営バスを実現した経験から、藤原さんはまたも夜討ち朝駆けをくり返し、その熱意にほだされた役人が「どうにか挑戦させてあげたい」と、とうとう法律改正までして補助金を出してくれた。
昭和62(1987)年、村の全世帯にケーブルが敷かれ、テレビ放送が流されるとともに、翌年から村独自の情報提供を始めた。気象情報としては、村内3カ所に設置した気象観測ロボットからデータを集め、地区ごとに最高最低気温や降水量を提供している。市況情報としては、毎日、過去数日のレタスの出荷量、単価が一目で分かるようにした。農業経営として必須の情報が得られるので、視聴率は100%となっている。
川上村の607戸の農家の高原野菜の平均販売額は25百万円(平成19年)。農業では高収入を得られないという日本の常識を完全に覆している。

---新しい農の形より引用

農家1戸あたり平均年収が2500万というのは全国平均、ましてや大規模農業の発達している北海道の平均(50ha以上でも1500万)を超えています。

このブログにも書いてあるのですが、上手く行った点として

1.情報の提供および共有
昨今は情報化社会でありますが農村はいまだにネットインフラが乏しい地区(ADSLすら通っていない)ところがまだ多くあり、情報格差が都市部と開いている現実があります。
また農村の高齢化のためネットインフラがあってもパソコンを上手く(ここではビジネス用途)使える人も少ないです。川上村の場合は(1988年なのでネットすらなかった)CATVの導入により各農家への情報を適切に伝達し、いい値段のときに野菜を売っていけたのだと思います。

2.町のマネジメント、マーケティング
農家は基本的に自営業なのですが、これを半ば会社の部署のようにして統率をした役場のマネジメントも大きいです。これによりブランド化が上手く行ったと考えられます。

があげられます。



ほかの例もまた載せますが、ブランド化に必要なこととして

・情報の入手および積極的な発信
・生産者とは別のマネジメントやマーケティングのセクションの存在
・どのようなフローで消費者までへの付加価値をつけるか

は必須かと思われます。


じゃあ次はそれについて詳しく書きます


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